借金の消滅時効の援用とは?条件を満たした借金は援用すると返済しなくてよくなります!

ご存じですか?借金にも時効があることを。

よくドラマで、この事件は時効になった、などと聞くことがあります。

では、借金は時効になれば返済しなくてよくなるのでしょうか?

実は、借金にも時効があり、時効が成立すると返済しなくてよくなる場合があります。この制度を「消滅時効」といいます。ただし、借金を長期間支払いしていないだけで自動的に返済義務がなくなるわけではありません。消滅時効の制度では、一定期間が過ぎたあとに「時効の援用」という手続きをした場合のみ返済義務がなくなると決まっています。しかし、借金の消滅時効には、今まで過ぎた時間がリセットされてしまう場合もあり、そう簡単に成立しません。ご自身の借金が時効になっているのでは?と思われる方は時効の援用手続きをする前に「借金の消滅時効」について確認してみましょう。

今回、「借金の消滅時効」「時効の援用手続き」について分かりやすく解説していきます。

借金の消滅時効とは!?

借金をしている場合、借りている人は返済する義務があり、貸している人は返してもらう権利があります。しかし、貸している人が借りている人に返済を求めない、又は借りている人が貸している人に返済しない場合、一定の条件に当てはまると、貸している人の「返してもらう権利」・借りている人の「返済する義務」が消滅してしまいます。この権利・義務が消滅することを消滅時効といいます。

援用手続きをしないと借金は消滅しない?

しかし、一定期間が過ぎただけでは自動的に借金の返済義務は消滅しません。返済義務を消滅させるためには、借りている人が法律上の時効の意思表示をしないといけません。借金を時効にするかどうかは、、借りている人の意思にゆだねられています。

時効の援用手続とは?

時効援用の意思表示とは、借りている人が、貸している人に対して「消滅時効の制度を利用します」、すなわち「時効を迎えたので借金は返済しません」と伝えることです。伝え方は口頭でも書面でも構いませんが、口頭で伝えると後日「言った言わない」とトラブルに発展する可能性があります。ですので実務上は証拠をのこすために内容証明郵便を利用することが一般的です。ただし、「10年以上払っていないから、これから一切支払わない」と伝えると、相手によっては時効のことを言ってると認識してもらえないかもしれません。ですので「消滅時効」という言葉をきちんと伝えたほうが安心です。逆に、借金を認めるような言葉を伝えてしまうと、消滅時効の制度を使えなくなるかもしれません。

時効の援用手続の前に確認を

時効期間は、いつからスタートする?

ここでは、貸している人が業者(消費者金融・カード会社等)の場合を説明します。

例えば、毎月1万円を返済する約束で50万円を借りた場合、毎月1万円ずつ50か月で完済になります。一般的に業者から借金した場合、数回支払いを怠ったら全額を一括返済すると契約に入っている場合が多いです。例えば「2回返済を怠ったら全額を一括返済する」と契約書に記載されていたとすると、2回返済を怠った時点で、貸している業者は全額を請求することができます、逆に、借りている人は将来分割で返済できたはずが一括で返済しないといけなくなります、このことを法律上「期限の利益の喪失」といいます。

期限の利益を喪失すると全額について返済する義務が発生するので、この時点から全額について時効期間がスタートします。時効期間は「最後に返済した時からがスタートする」と説明されていることが多いですが、あくまで借金した時の契約によって期限の利益を喪失するタイミングは変わるので時効期間のスタート時点も変わります。ですので最後に返済してからピッタリ5年しか過ぎていない場合は時効が成立していないかもしれないので、数か月待たないと時効援用できない可能性があります。また、契約によっては期限の利益の喪失の条項が入っていない場合もあります、この場合は毎月の返済期限を過ぎると、その月の返済額のみ個別に時効期間がスタートします。

時効期間は5年、10年?

では何年過ぎれば時効になるのでしょうか?時効期間は借金をした相手業者によって異なります。貸主が、消費者金融・クレジットカード会社・銀行などの場合は5年で時効でなります。貸主が、信用金庫・保証協会・住宅金融支援機構などの場合は10年で時効になります。ただし、貸主が信用金庫であったとしても、借主が商人(個人事業主や会社)で事業資金として借りた場合の時効期間は5年になります。

時効は中断する場合があります

時効期間のスタート地点については先にご説明しました、では時効期間がスタートした場合、5年又は10年過ぎると絶対に時効は成立するのでしょうか?実は、法律に定められた事由が発生すると「時効が中断」します。「時効が中断」すると、今まで進行してきた時効期間がリセットされてしまい、再度、0から時効期間がスタートします。具体的には、時効期間がスタートして3年目に「時効が中断」すると、今までの3年間はなかったことになり、その時から再度5年又は10年過ぎないと時効援用することが出来ないということです。

債権者(貸主)は時効の中断を狙ってきます

では、具体的にどのようなことがあると時効が中断するのでしょうか。「請求」「差押え」「承認」の3つが法律で定められている代表的なものになります。

まず「請求」ですが、債権者(貸主)から借主に、単に請求書を郵送してきたり、電話をかけてきて借金の請求をしただけでは時効は中断しません。時効を中断させることができる請求とは、「裁判上の請求」と定められています。裁判上の請求とは、裁判を起こす・支払督促を申立てることです。裁判等をおこされてしまうと時効を中断する効力が発生しますが、その時点で時効の条件を満たしているのであれば時効援用をすることにより借金を支払わなくてもよくなります。ただし、裁判等をおこされたにもかかわらず、無視してしまうと時効が中断するばかりではなく、時効期間が10年に延長(今後10年過ぎないと時効援用ができなくなる)されてしまいます。時効期間が過ぎている(5年又は10年)から裁判は起こされないだろうと思われる方がいらっしゃいますが現実的には時効期間が過ぎてから裁判をおこしてくるケースは少なくありません。このように時効期間を過ぎてから裁判をおこされた場合でも時効援用の手続きをしない限り借金の支払い義務はなくなりません、逆に、裁判をおこされたとしても時効の条件を満たしている限り時効援用の手続きをすることで借金を支払わなくてもよくなります。ですので裁判所から書面が届いたら絶対無視しないで内容を確認し適切な対応をしましょう。 

次に「差押え」についてですが、一般的に差押えを受ける財産は、給料・預金・不動産です。差押えを受けると時効が中断してしまいます。ただし、不動産に担保設定(抵当権等)されている場合を除き、基本的に貸主が裁判を起こし勝訴してからしか差押えはできません。

最後に「承認」ですが、時効を中断してしまう一番の原因になります。簡単にいうと承認とは、「借金を認める」ことです。書面でも口頭でも借金を認める言動をすると承認になってしまいます。はっきりと「返済する」と言わなくても、「少し待ってほしい」「毎月5000円なら返済できる」などと言ってしまうと時効が中断してしまいます。一番わかりやすいのは返済です、一部だけでも返済してしまうと時効が中断しますので、1000円ぐらいならいいかと思い返済してしまうと、取り返しのつかないことになります。

時効期間が過ぎたことを知らずに返済してしまったら?

先にご説明しましたが、貸主である相手業者は時効期間を過ぎたにもかかわらず借金を請求してきたり、裁判をおこしてくることは少なくありません。では、時効期間を過ぎていることを知らずに返済してしまった場合、返済した後に時効援用をすることはできるのでしょうか?結論からいいますと、一部でも返済してしまうと、たとえ時効期間を過ぎていると知らなかったとしても時効援用することはできなくなります。ただ、例外的に時効援用できるケースもありますが、5年または10年以上、借金の返済をしていないのなら借金の請求書が届いても返済する前に時効援用を検討してみましょう。

時効期間が過ぎているか、確認できる?

時効期間が過ぎているか、時効の中断があるかなどの確認は、ご自身の記憶や相手業者から届いた請求書に記載されている内容から判断します。しかし、請求書に具体的な内容の記載がない、ご記憶があいまいな場合は相手業者に確認するしかないですが、確実な回答をもらえるかはわかりません。相手業者に確認するときに誤って債務承認にあたる言動をしてしまうと時効が中断して時効期間がリセットされてしまいますので確認する場合には注意が必要です。

時効の援用手続きをした後は

時効の援用手続が完了したら?

時効の援用手続をした場合、時効が完成していたときは、借金を支払う必要がなくなります。もちろん、貸主から借金の請求をされることもなくなります。では、時効の援用が成功しているかの確認はできるのでしょうか?裁判を起こされてから時効の援用手続きをするか、起こされていないときに援用手続きをするかで異なります。まず、裁判を起こされてから援用手続きをする場合、口頭弁論期日(裁判の日)よりも前に援用手続きをして支払い義務が消滅すると原告である貸主が裁判を取下げる場合があります、また口頭弁論期日において時効の主張をして認められると貸主の請求は棄却されて終了する場合があります、どちらにしても取下げ又は棄却されれば時効の主張が認められたことになります。次に、裁判を起こされていないときに時効の援用手続きをした場合ですが、援用手続き後の対応は相手業者によって異なります、「時効が成立しているので借金の支払い義務が消滅した」と連絡をくれる場合もありますし、何の連絡もくれない場合もあります。相手業者の対応方法は、業者ごとのお役立ち情報をご参照ください。時効になっているかの連絡をくれない場合は、相手業者に連絡をとって確認することが考えられますが、きちんと回答してくれるかは相手次第です。また、信用情報(俗にブラックリストと呼ばれる)を取寄せて確認が可能な場合もあります。

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